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現在と過去 ヒロシマを写す 安佐南出身の写真家笹岡さん 東京の美術館で公開制作

 広島市安佐南区出身の写真家笹岡啓子さん(47)=東京=が、東京都府中市の府中市美術館で自身初の公開制作に挑んでいる。ヒロシマをテーマに四半世紀撮り続けているシリーズ「PARK CITY」を再構成する過程を披露。完成後、11月15日に展示を始める。(堀晋也)

 シリーズは、原爆が投下された後の街の変化に関心を持ち、2001年に広島市中区の平和記念公園周辺を撮り始めたのが始まり。「現在の広島からは簡単には分からないが、何もないように見えてそこに写ってしまうヒロシマ。過去を見ている現在の人を繰り返し写している」

 残る公開制作は25、26日。シリーズのごく一部の約80点を並べて見直し、展示内容を構成する。笹岡さんが「修業」と位置付ける初期のモノクロカットに加え、スローシャッターでわざと人物にブレをつけたり、色を反転させたりした作品、戦前の絵はがきなどと現在の広島を合成した新作もある。

 2000年開館の同美術館での公開制作は93組目だが、写真家は珍しく笹岡さんが2人目。「写真には終わりがない。時代を超え、衝撃に何度でも出合い直せる」と魅力を語る笹岡さん。構成の過程を来場者と共有し、写真の面白さに出合ってもらえればと訴える。

 展示は12月7日までの予定。初日にはトークショーがある。

(2025年10月23日朝刊掲載)

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