被爆者の心身の傷 訴え 広島で「原子爆弾後障害研究会」
25年10月27日
原爆による健康影響を研究者が報告する「原子爆弾後障害研究会」が26日、広島市中区の広島国際会議場であった。鎌田七男・広島大名誉教授が特別講演し、長期にわたり心身の傷を抱えてきた被爆者の症例を解説。原爆の非人道性を訴えた。
鎌田氏は爆心地から500メートル以内で被爆した78人を追跡調査してきた。11歳で原爆孤児となったある女性は、住み込みで働いた後に流産を繰り返し、難聴や白内障にも苦しんだと強調。「『生涯虐待』の状態だ。原水爆は人類に無用だと明確に示している」と述べた。
広島原爆障害対策協議会の健康管理・増進センターの上野義隆所長はシンポジウムで、体のだるさを感じる「原爆ぶらぶら病」に似た症状が近年、中東で爆発の衝撃波を受けた帰還兵にも多く見られると説明。「広島でも爆心地近くでは強い衝撃波があった。研究が必要だ」とし、センターが保管する24万件超の被爆者のカルテが活用できる可能性に触れた。
被爆者運動に詳しい京都大の直野章子教授も登壇。戦争や放射線の被害は今なお続いているとして、「『再び被爆者をつくらない』と、私たちが自らの問題として取り組むべきだ。その意識があってこそ、記憶の継承はできる」と訴えた。
広島と長崎で交互に開かれ、65回目。医療関係者たち約120人が聴いた。 (下高充生)
(2025年10月27日朝刊掲載)
鎌田氏は爆心地から500メートル以内で被爆した78人を追跡調査してきた。11歳で原爆孤児となったある女性は、住み込みで働いた後に流産を繰り返し、難聴や白内障にも苦しんだと強調。「『生涯虐待』の状態だ。原水爆は人類に無用だと明確に示している」と述べた。
広島原爆障害対策協議会の健康管理・増進センターの上野義隆所長はシンポジウムで、体のだるさを感じる「原爆ぶらぶら病」に似た症状が近年、中東で爆発の衝撃波を受けた帰還兵にも多く見られると説明。「広島でも爆心地近くでは強い衝撃波があった。研究が必要だ」とし、センターが保管する24万件超の被爆者のカルテが活用できる可能性に触れた。
被爆者運動に詳しい京都大の直野章子教授も登壇。戦争や放射線の被害は今なお続いているとして、「『再び被爆者をつくらない』と、私たちが自らの問題として取り組むべきだ。その意識があってこそ、記憶の継承はできる」と訴えた。
広島と長崎で交互に開かれ、65回目。医療関係者たち約120人が聴いた。 (下高充生)
(2025年10月27日朝刊掲載)








