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[被爆80年] 「本当のヒロシマ 生徒と絵に託す」 「原爆の絵」制作 基町高生始める

 広島市中区の基町高創造表現コースの生徒が24日、被爆者の記憶を基に80年前の惨状を描く「原爆の絵」の新たな作品の制作を始めた。来夏までに仕上げ、被爆者7人の体験を絵筆で伝える。

 中区の原爆資料館で顔合わせがあり、生徒11人と被爆者6人が参加した。広島高等師範学校付属中(現広島大付属中高)1年の時、食糧増産のため動員されていた村から入市被爆した新井俊一郎さん(93)=南区=は、1年吉原彩葉(いろは)さん(15)に体験を証言。出汐町(現南区)の自宅へ戻ると、血だらけの父と母が座り込んでいた様子などを語った。

 新井さんは「『想像を絶する想像』をしてほしい。本当のヒロシマを生徒と絵に託す」と強調。吉原さんは「聞いたことを全て絵にぶつけ、細部までこだわりたい」と意気込んだ。この日の参加者以外の生徒3人と被爆者1人も制作に加わる。

 同コースは2007年度に「原爆の絵」制作を開始。完成した222点は被爆者の証言活動に活用され、県内外で展示もされている。取り組みはことしの谷本清平和賞に選ばれた。(下高充生)

(2025年10月25日朝刊掲載)

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