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[被爆80年] 原爆孤児の生涯 後輩に語る 伝承者の井上さん 県立広島中・高で

 広島市の被爆体験伝承者で広島大病院研修医の井上つぐみさん(25)=広島市南区=が28日、母校の県立広島中・高(東広島市高屋町)で初めての講話をした。体育館に集まった全校生徒約1100人に、原爆で孤児となった故川本省三さんの生涯を語った。

 井上さんは、川本さんが原爆投下直後に疎開先から広島に戻り、生き残った姉が半年後に亡くなったことを説明した。結婚を申し込んだ相手の親から、被爆者として差別を受けた話も伝えた。

 川本さんは生前、「子どもたちに二度とこの苦しみを味わってほしくない」と願っていたと強調。「よりよい世界の実現に向けて、私たちにできることを考え、行動に移そう」と語りかけた。

 放課後には後輩たちが開いたトーク企画にも参加した。高校1年の松本楓花(ふうか)さん(15)は「先輩が伝承者として行動を起こしている姿に勇気をもらえた。私も核兵器廃絶に向けて貢献していきたい」と話していた。(石井雄一)

(2025年10月29日朝刊掲載)

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