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原爆資料館東館地下1階 28年度に新設 子ども向け 3展示室に 被爆前・直後・後の時系列で 原案判明

 広島市が原爆資料館(中区)東館地下1階に2028年度に新設する子ども向け展示スペースの原案が28日、分かった。「被爆前」「被爆直後」「被爆後」の時系列に沿った3室を用意。被爆した子どもが残した日記、焼け焦げた弁当箱など実物の遺品をふんだんに展示し、同世代を襲った惨禍を伝える。

 関係者によると、会議室2室と特別展示室の計約500平方メートルを模様替えする。主な対象は小学校高学年と中学生の11~15歳と想定。一度に計300人程度の受け入れが可能と見込む。

 「被爆前」には、被爆前の街並みや戦時下の子どもの写真を展示。女学生の日記を通じ、戦禍が深まっていく様子も伝える。「被爆直後」には、無残に焼かれた制服など実物を中心に並べる。3歳の時に被爆死した鉄谷伸一ちゃんの三輪車はレプリカとする。子どもの心理的負担に配慮し、展示を選んで見られるような仕掛けも工夫する。

 「被爆後」では、後に広島東洋カープの選手となった被爆者の学生服の展示を検討中。苦難を乗り越え、夢を追いかけた姿をアピールする。

 26年度末までに詳細を決め、27年度に着工。今の特別展示室は被爆体験講話にも使われており、代わりの場所を館内か広島国際会議場に確保する。25年度の事業費は3100万円。工事費を含む全体事業費は未定だが、国が3分の2を補助する見通しとなっている。(樋口浩二)

(2025年10月29日朝刊掲載)

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