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広島の惨禍・戦後伝わる 中国新聞読者と報道委 カープ連載を評価

 中国新聞の報道に社外の有識者が提言する「読者と報道委員会」の第71回会合が29日、広島市中区の中国新聞ビルであった。被爆80年報道、7月の参院選、半世紀前の広島東洋カープ初優勝を振り返る連載を巡り、委員3人が編集局幹部たちと意見を交わした。

 広島大名誉教授の森辺成一さん(67)、弁護士の中村健太さん(48)、NPO法人もりのこえん代表理事の井出崎小百合さん(58)が、吉原圭介編集局長の司会で議論した。

 被爆80年報道のうち、広島の惨禍と戦後の歩みをたどった企画「ヒロシマ ドキュメント」について、中村さんは「平和記念公園誕生の経緯など、自分が生まれる前の出来事を体系的に知ることができた」と評価した。井出崎さんは、全国被爆者アンケートを基に取り上げた被爆者の苦難の半生に心を寄せ「核はいろんな人の気持ちを傷つけた」と受け止めた。

 自民、公明の与党(当時)が改選過半数を割り込んだ参院選の報道に関しては、井出崎さんは交流サイト(SNS)などで偽・誤情報が目立ったとして、「新聞は正しい情報を流す媒体であり続けて」と期待。森辺さんは中国地方の課題を紹介した連載を評価しつつ、「同時に各課題への政党、候補者の考えや政策まで踏み込んでほしかった」と指摘した。

 カープ初優勝50年の連載を巡っては、森辺さんは当時を知る選手や市民の減少に触れ「証言を残すラストチャンスでタイムリー」と歓迎した。中村さんは初優勝直前の中日戦での乱闘の裏話を伝えた記事を挙げ、「背景に市民の盛り上がりがあったのだろうと想像させられた。楽しい読み物だった」と振り返った。(岸慶太)

(2025年10月30日朝刊掲載)

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