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核禁条約会議巡り石破前首相 「オブザーバーでも参加すべきだった」

 石破茂前首相(鳥取1区)が28日、衆院議員会館で中国新聞のインタビューに応じ、石破政権下で参加を見送った3月の核兵器禁止条約第3回締約国会議に関し「個人的にはオブザーバーでもいいから参加すべきだと思っていた」と明かした。

 自民党の首相経験者が参加の可能性に言及したのは極めて異例。石破氏は「8月6日には特別な思い入れがあり、被爆80年だ」と触れ、参加を求めた公明党の斉藤鉄夫代表と「思いは共通するものだった」と述べた。

 その上で「日本政府全体としてそれができるかということは随分と葛藤があった。米国に核抑止力を依存していることと矛盾せざるを得ない」と強調。見送りの決定は「為政者としてやむを得ない選択だった」と振り返った。核なき世界に向け、核兵器保有国が加盟する核拡散防止条約(NPT)体制が「より実効性がある」と従来の政府見解も訴えた。

 石破氏は首相就任前、オブザーバー参加を「選択肢の一つ」と語っていたが、昨年10月の政権誕生後、否定的な態度に転じた。条約に消極的な米トランプ大統領の姿勢などを踏まえて見送った。

 今回の自民党総裁選に関しては閣内で政権を支えた林芳正総務相、小泉進次郎防衛相を推したと説明。「石破政権を継続してくれる意味で林さん、小泉さんを私は応援してきた」と語った。(秋吉正哉)

(2025年10月29日朝刊掲載)

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