原爆投下前 人々の営み細やかに 広島で16日 ミュージカル「バウムクーヘンとヒロシマ」 原作者の巣山ひろみさんに聞く
25年10月31日
													 11月16日に広島市で初披露されるミュージカル「バウムクーヘンとヒロシマ」。原作を手がけた児童文学作家の巣山ひろみさん(62)=佐伯区=は、地元での上演を待ち望んでいた。「知っているつもりで知らないことが、広島の人だからこそあるはず。ミュージカルを通じてより楽しく、物語に込めた思いが伝われば」と期待する。
同名の児童書は5年前に刊行。大好きなバウムクーヘンの手作り体験にひかれて似島(南区)を訪れた小学生の主人公・颯太(そうた)が、日本で初めてバウムクーヘンを焼いたドイツ出身の菓子職人カール・ユーハイムの数奇な半生や、原爆で家族を失った祖父の思いを知っていく。
東京の劇団イッツフォーリーズが舞台化し、2年前に東京で初演。被爆80年に合わせて広島公演が決まった。ミュージカルオリジナルのシーンもあるという。
原作の執筆時、巣山さんが特に意識したのが「原爆投下前の人々の暮らしや息遣い」だ。作中では、後に原爆ドームとなる県物産陳列館でバウムクーヘンが販売された際の様子や、かつて爆心地近くに住んでいた颯太の祖父が街の思い出を語る場面を丁寧に描写した。平和記念公園は昔から公園だったと思い込んでいた颯太は衝撃を受け、過去と今は地続きなのだと実感し始める。
巣山さん自身、取材を重ねる中でヒロシマは遠い存在ではないと感じた。「被爆から80年を経た今、子どもたちに原爆を単なる歴史としてではなく、身近に引き寄せて考えてほしい」と願う。
公演は中区のJMSアステールプラザで午前11時と午後2時半の2回。一般5500円など。18歳以下の先着646人を無料で招待する。公演のサイトから事前に申し込む。実行委員会☎082(504)2837。 (福田彩乃)
(2025年10月31日朝刊掲載)
                        
                    同名の児童書は5年前に刊行。大好きなバウムクーヘンの手作り体験にひかれて似島(南区)を訪れた小学生の主人公・颯太(そうた)が、日本で初めてバウムクーヘンを焼いたドイツ出身の菓子職人カール・ユーハイムの数奇な半生や、原爆で家族を失った祖父の思いを知っていく。
東京の劇団イッツフォーリーズが舞台化し、2年前に東京で初演。被爆80年に合わせて広島公演が決まった。ミュージカルオリジナルのシーンもあるという。
原作の執筆時、巣山さんが特に意識したのが「原爆投下前の人々の暮らしや息遣い」だ。作中では、後に原爆ドームとなる県物産陳列館でバウムクーヘンが販売された際の様子や、かつて爆心地近くに住んでいた颯太の祖父が街の思い出を語る場面を丁寧に描写した。平和記念公園は昔から公園だったと思い込んでいた颯太は衝撃を受け、過去と今は地続きなのだと実感し始める。
巣山さん自身、取材を重ねる中でヒロシマは遠い存在ではないと感じた。「被爆から80年を経た今、子どもたちに原爆を単なる歴史としてではなく、身近に引き寄せて考えてほしい」と願う。
公演は中区のJMSアステールプラザで午前11時と午後2時半の2回。一般5500円など。18歳以下の先着646人を無料で招待する。公演のサイトから事前に申し込む。実行委員会☎082(504)2837。 (福田彩乃)
(2025年10月31日朝刊掲載)

 
						 
						






