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[被爆80年] 核廃絶の方策 広島で議論 パグウォッシュ会議開幕

 核兵器廃絶を目指す科学者たちの国際組織「パグウォッシュ会議」の世界大会が1日、広島市中区の広島国際会議場で開幕した。被爆80年の節目に39カ国・地域の約190人が核廃絶への具体的な方策などを議論。最終日の5日に、提言をまとめた「広島宣言」を発表する。

 開会式で、フセイン・アルシャハリスタニ会長(83)は「私たちはヒロシマの惨禍を繰り返さない決意を新たにするため、この地に集っている」とあいさつし、国家や地域、世代間をつなぐための議論を呼びかけた。

 続いて被爆者と市民との対話があり、被爆者の小倉桂子さん(88)=中区=が爆心地から約2・4キロの牛田町(現東区)で被爆した体験を語った。証言を聞いたアルシャハリスタニ会長は「感情を表す言葉が見つからない」と述べ、原爆のニュースに幼い頃に触れたことが人々の役に立つため核科学を学ぶ原動力になったと明かした。

 基町高3年甲斐なつきさん(18)=西区=も対話に加わり、高校生平和大使として核廃絶の署名運動や昨年のノーベル平和賞の授賞式に合わせてノルウェーに渡航した体験を話した。

 会期中は、イスラエル元首相とパレスチナ自治政府元外相の対話などのプログラムがある。世界大会の広島開催は20年ぶり3回目。日本での開催も2015年の長崎以来となる。 (小林可奈)

(2025年11月2日朝刊掲載)

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