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[被爆80年] 賀茂高生 戦禍思い朗読 あす東広島 演劇部がエッセーや絵本

 東広島市西条西本町の賀茂高の演劇部の生徒が3日、同市西条栄町の市立美術館でのイベントに出演し、原爆がテーマのエッセーと絵本を朗読する。部員たちは戦争の記憶を継いでいく力になろうと、作品の背景や作者の思いを心に落とし込みながら練習に励んできた。(教蓮孝匡)

 演劇部は8年ほど前から、原爆や戦争についての文学作品の朗読活動を続けており、今回は1、2年生の女子部員6人が出演予定。賀茂高の前身の賀茂高等女学校に在籍した芥川賞作家大庭みな子さん(1930~2007年)のエッセー「地獄の配膳」と、平和を願う女子児童が手描きした絵本「ひばくポンプ」を朗読する。

 原爆投下後の広島で被爆者に食事を配った大庭さんの体験や、多くの被爆者が水を求めたとされる手押しポンプを巡る物語を、ピアノとバイオリンの演奏に合わせて読み語る。

 市立美術館は現在、被爆80年をテーマにしたコレクション展を開いており「ひばくポンプ」も展示作品の一つ。同館は「地元の若者の声を通じて、来館者に原爆の記憶を身近に感じてもらいたい」と朗読を依頼した。

 演劇部顧問の得能歩教諭(49)は「生徒も学びや思いを深められる貴重な機会をいただいた」と感謝。部長の2年山野多恵さん(16)は「筆者の経験を、自分だったらどう感じるか考えながら表現したい」と力を込める。

 イベントは午後2時から40分間。無料。定員約50人で当日先着順。この日はコレクション展も無料で鑑賞できる。美術館☎082(430)7117。

(2025年11月2日朝刊掲載)

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