核廃絶 対話重ね決意新たに フセイン・アルシャハリスタニ会長 1日からパグウォッシュ会議世界大会
25年11月1日
核兵器廃絶を目指す科学者たちの国際組織「パグウォッシュ会議」世界大会(1~5日)の開幕を前に31日、イラク元副首相のフセイン・アルシャハリスタニ会長が中国新聞のインタビューに応じ、各国から集う専門家や元政府高官らによる議論への期待を語った。(小林可奈)
―初めての広島訪問ですね。
幼い頃から原爆被害について聞いて育った私にとって、訪れたい地だった。被爆80年の節目に犠牲者を追悼し、市民と対話すると同時に、科学が再び破壊的な目的で利用され、原爆の惨禍が繰り返されることがないよう決意を新たにしたい。
―世界大会ではイスラエルの元首相とパレスチナ自治政府の元外相の対話も予定されています。
ガザの状況は悲惨で、(イスラエルが国際法違反の入植地拡大を進める)ヨルダン川西岸の状況も深刻。何としてもこの状況を終わらせるための方策を議論したい。
―トランプ米大統領が「核兵器の実験を指示した」と発表しました。どう受け止めますか。
非常に危険で、詳細は分からないが発言そのものが遺憾だ。他の保有国の核兵器の増強を招きかねない。核実験は放射線を放出し、市民に被害を及ぼす。全ての保有国に核実験再開を阻止するよう求める。実験の必要性自体をなくすには、核兵器廃絶しかない。
―科学者として旧フセイン政権下で核開発への協力を拒み、アブグレイブ刑務所で拷問を受けたと聞きました。
独房での監禁は10年に及んだ。周りの囚人が拷問で命を奪われていったが、なおも大量破壊兵器によるおびただしい死に加担しないという意思は揺るがなかった。核兵器は国家に抑止力や安全保障をもたらさないどころか、人々を脅威にさらす。私の信念はヒロシマから得た教訓でもある。
1942年生まれ。カナダ・トロント大で博士号(核化学)。イラク原子力委員会などに勤務。フセイン政権下の79年に逮捕され、計11年間拘束される。91年に脱獄。2003年の政権崩壊後、石油相、副首相などを歴任。24年5月から現職。
(2025年11月1日朝刊掲載)
―初めての広島訪問ですね。
幼い頃から原爆被害について聞いて育った私にとって、訪れたい地だった。被爆80年の節目に犠牲者を追悼し、市民と対話すると同時に、科学が再び破壊的な目的で利用され、原爆の惨禍が繰り返されることがないよう決意を新たにしたい。
―世界大会ではイスラエルの元首相とパレスチナ自治政府の元外相の対話も予定されています。
ガザの状況は悲惨で、(イスラエルが国際法違反の入植地拡大を進める)ヨルダン川西岸の状況も深刻。何としてもこの状況を終わらせるための方策を議論したい。
―トランプ米大統領が「核兵器の実験を指示した」と発表しました。どう受け止めますか。
非常に危険で、詳細は分からないが発言そのものが遺憾だ。他の保有国の核兵器の増強を招きかねない。核実験は放射線を放出し、市民に被害を及ぼす。全ての保有国に核実験再開を阻止するよう求める。実験の必要性自体をなくすには、核兵器廃絶しかない。
―科学者として旧フセイン政権下で核開発への協力を拒み、アブグレイブ刑務所で拷問を受けたと聞きました。
独房での監禁は10年に及んだ。周りの囚人が拷問で命を奪われていったが、なおも大量破壊兵器によるおびただしい死に加担しないという意思は揺るがなかった。核兵器は国家に抑止力や安全保障をもたらさないどころか、人々を脅威にさらす。私の信念はヒロシマから得た教訓でもある。
1942年生まれ。カナダ・トロント大で博士号(核化学)。イラク原子力委員会などに勤務。フセイン政権下の79年に逮捕され、計11年間拘束される。91年に脱獄。2003年の政権崩壊後、石油相、副首相などを歴任。24年5月から現職。
(2025年11月1日朝刊掲載)








