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ガザ和平 広島で討論 イスラエル元首相とパレスチナ元外相 「2国家解決」を強調パグウォッシュ会議4日目

 核兵器廃絶を目指す科学者たちの国際組織「パグウォッシュ会議」は4日、広島市中区の広島国際会議場で世界大会の議論を続けた。パレスチナ問題を巡り、イスラエルのオルメルト元首相とパレスチナ自治政府のアルキドワ元外相が非公開の討論後に中国新聞などのインタビューに応じ、双方が共存する「2国家解決」を「唯一の解決策」と強調した。(小林可奈、金崎由美)

 両氏は昨年から、パレスチナ国家建設に向けた「2国家解決」の具体策を共同提案している。パレスチナ自治区ガザとヨルダン川西岸を回廊でつなぐ一方、イスラエルはユダヤ人入植者が居住するヨルダン川西岸の一部を得ることなどを定める。

 オルメルト氏は「多くの困難やトラウマ(心的外傷)を乗り越えなければならないが、和平はそもそも敵同士が歩み寄って結ぶものだ」とし、2国家解決の重要性を述べた。アルキドワ氏は「状況は複雑ではあるが、忍耐強く努めれば実現できる」と力を込めた。

 両氏とも初めての広島訪問で、原爆資料館(中区)を見学した。事実上の核兵器保有国であるイスラエルのオルメルト氏は「ヒロシマは戦争が人類に何をもたらすかを想起させる。資料館の訪問は、広島から持ち帰る最も重要な記憶だ」。アルキドワ氏は「資料館訪問は胸が張り裂けるような体験だった。知っていることと、実際に目にすることは違う」と語った。

 世界大会での討論では、両氏の共同提案に評価の声があった一方、「(イスラム組織)ハマスは現実としてパレスチナ社会の一部であり、排除すべきでない」との意見や、共同提案がうたう2国家解決に向けた交渉が米国の仲介頼みであることを疑問視する声が上がった。

 大会4日目のこの日は、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)ヨルダン川西岸事務所部長が、ガザ情勢についてオンラインで発表するなどした。

(2025年11月5日朝刊掲載)

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