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[戦後80年 島根] 益田の戦没者 冥福祈る 式典に150人 平和への誓い新た

 益田市戦没者合同追悼式が4日、同市の県芸術文化センター・グラントワであった。市と市社会福祉協議会が戦後80年の節目に合わせて開催。市遺族会の遺族や関係者たち約150人が、市内から戦地に赴き、亡くなった2625人を悼んだ。(永井友浩)

 ホールに設けた祭壇の前で、市民を代表して山本浩章市長が「不断の努力で平和を守り、未来の子どもたちに引き継ぐことが私たちの使命だ」と誓いの言葉を述べた。

 沖縄戦で父を亡くした市遺族会の河野勝美会長(85)は「どうか生きて帰って来てと送り出し、父は遺骨で戻ってきた。戦争の体験は風化しているが遺族は悲しい思い出を拭い去れない」と強調。「高齢化している遺族に代わり、子や孫の世代に語り継いでいってほしい」と願った。参列者は献花台に菊をささげて戦没者の冥福を祈った。

 追悼式は市内17地区にある遺族会が毎年開き、3年に一度、市などが合同追悼式を開催。戦後80年の今年は、昨年に続き合同で開いた。市などによると、市内の遺族世帯は858世帯。戦没者を直接知る遺族の高齢化が進み、活動中の遺族会は11地区に減っているという。

 ニューギニア沖で輸送船に乗っていた父を亡くした同市久城町の石田郁雄さん(90)は「足が悪くなり、今年が最後の追悼式と思って参列した。80年たっても父の遺骨は帰って来ていない」と涙を拭った。

(2025年11月5日朝刊掲載)

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