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[被爆80年] ヒロシマ手記 100編超す 節目の年・高齢化…「今しかない」 追悼平和祈念館 13年ぶり

 平和記念公園(広島市中区)にある国立広島原爆死没者追悼平和祈念館に本年度、被爆者たちから寄せられた手記が105編に達した。年100編を超えるのは2012年度以来、13年ぶり。被爆80年の節目を捉え、次代に記憶を伝えようとする姿が浮かぶ。

 同館によると、ここ5年に収集した体験記は年51~91編で推移。7カ月で100編を超えるのは異例のペースだ。月別では8月23編▽6月18編▽5月16編―と続いた。

 本年度分には「寿命が尽きようとしているときに、ようやく原爆体験の記録を留めようとしている」「気力があり割と記憶が明確である今しかない」などの記述が見られる。同館の担当者は「節目の年に原爆への関心が高まるとともに、高齢になり今のうちに書いておこうという思いの人が増えたのでは」と分析。厚生労働省が執筆を促すチラシを全国に送ったことも背景にあるとみる。

 同館によると、12年度は1045編を収集したが、NHK広島放送局から寄贈された1022編を含む。100編超えは、開館翌年の03年度以降では5回目となった。

 同館は、過去に厚生労働省が募った体験記や図書掲載分を含め、全15万1055編の手記を所蔵。いずれも館内で閲覧できる。(下高充生)

(2025年11月9日朝刊掲載)

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