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親被曝と2世の生活習慣病 「関連性認められず」 放影研が途中報告

 放射線影響研究所(広島市南区、放影研)は19日、被爆2世への健康追跡調査の途中経過を報告し、親の放射線被曝(ひばく)と子の生活習慣病の明確な関連性は認められなかったと明らかにした。発症率が低い病気では分析が不十分な可能性もあり、調査を続けるという。

 2002~17年に2世の健診を受けた1万2587人を対象に、20年末までの健康データを解析した。初診時の平均年齢は49歳。高血圧▽高LDLコレステロール血症▽高トリグリセリド血症▽糖尿病―の4疾患の有病率や死亡事例を統計的に調べたところ、親の被曝線量との関連を否定される結果が出たという。

 この日、所内で開いた第三者委員会「被爆二世臨床調査科学倫理委員会」で報告。終了後の記者会見で、委員長の上島弘嗣・滋賀医科大名誉教授(循環器疾患)は「2世にとっては安心材料になる結果だと分析している」と述べた。一方、糖尿病の発症や死亡事例は年齢が上がるほど増えるため、今後も追跡調査の必要があるという。

 2世への健康影響を巡っては、02~06年の調査でも同様の結果が出た。ただ当時の2世は若く、発症割合が増える高齢期に向けた調査を続けてきた。最終的な結論を出す時期については未定という。(下高充生)

(2025年11月20日朝刊掲載)

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