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国際会議宣言を採択 原水協 「核の傘」依存に批判 原水禁

■記者 久行大輝、金崎由美

 日本原水協などと原水禁国民会議などはそれぞれ5日、広島市内で原水爆禁止世界大会を続けた。

 原水協の国際会議は中区の広島厚生年金会館で閉会総会。核兵器廃絶に向けて国際的な連帯行動を呼び掛ける「国際会議宣言」を採択した。「核兵器のない世界」を目指す点でオバマ米大統領の姿勢を歓迎し、平和市長会議が唱える「2020ビジョン」運動や被爆者の訴えと連帯していくとしている。

 原水禁は南区のホテルで国際会議を開き、日本や米国、中国、韓国の平和団体メンバーが東北アジアの核状況について議論。北朝鮮の核開発を懸念しながらも、日本と韓国が米国の「核の傘」に依存していることが北朝鮮の軍拡を招き、地域を不安定にしているとの意見が相次いだ。

 連合と原水禁、核禁会議の3団体も中区の県民文化センターでシンポジウムを開いた。

 6日は、原水協は世界大会、原水禁はまとめ集会を開く。


広島訪問の2氏に聞く

フランス核兵器監視協会 ブリュノ・バリオ代表

■記者 金崎由美

 フランス政府は、自国の核実験の被害者を救済する補償法案を国会に提出した。しかし、原水禁の世界大会に参加している市民団体「フランス核兵器監視協会」のブリュノ・バリオ代表(69)は、欠陥法案だと批判している。

 政府は被害の存在を隠し続けてきた。しかし世界的に被害者救済の流れが強まり、世論の注目も高まってきた。被害を認め、補償せざるを得ない状況になっている。

 だが、法案内容はまったく評価できない。国防省が公式に把握しているだけで被曝(ひばく)の可能性がある核実験従事者は計7万人。ところが国防省は、この法律で救済されるのは数百人規模と見積もっている。

 特に仏領ポリネシアの人たちは被爆状況を証明する書類をそろえるのが難しく、本国の退役軍人らに比べて補償獲得のハードルはさらに高い。法律は差別的であり、結局は従来通り裁判に訴えるしかない懸念もある。

 法律が成立したら、あえて千人規模で補償申請し、欠陥を浮かび上がらせたい。(談)


アラブ連盟 モハメド・エゼルディン・アブデルモネイム特別顧問

■記者 金崎由美

 来年春の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の成否を握るとみられる中東問題について、原水協などの世界大会に参加しているアラブ連盟のモハメド・エゼルディン・アブデルモネイム特別顧問(64)=エジプト=に聞いた。

 NPTに入らず核兵器を保有するイスラエルに対し、核の放棄とNPT加盟を強く促したい。1995年のNPT無期限延長と同時に「中東決議」が採択され、満足できる内容ではなかったにもかかわらず、非大量破壊兵器地帯の設置など一向に進展していない。合意には行動が伴わなければならない。

 解決策は、イスラエルとパレスチナの2国家の共存しかない。オバマ米大統領も6月にエジプト・カイロでそう演説した。

 和平交渉の停滞が核問題の解決を遅らせる理由にはならない。イランの脅威を盾にイスラエルの核を例外扱いしたままでは、NPTに対するアラブ諸国の不満は募る一方だ。長期的にはイスラエル内で、市民から変革への圧力が生まれなければ解決しない。積み重ねが肝心だ。(談)

(2009年8月6日朝刊掲載)

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