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■記者　明知隼二

　ルーマニアの首都ブカレストにある国立歴史博物館で「広島・長崎原爆展」が開かれている。広島市の原爆資料館でボランティアとして働いたチェザル・コンスタンティネスクさん（２８）＝写真＝が、被爆地と現地の橋渡しをして開催にこぎ着けた。

　原爆展は博物館と在ルーマニア日本大使館の共催。原爆被害を伝える写真ポスター３０点を並べ、被爆後の廃虚を記録した映像の上映もある。広島原爆の日の６日に開幕。初日は約６０人が訪れ、真剣な表情で見入っていたという。９月６日まで。

　ルーマニアではこれまでも日本の市民団体や青年海外協力隊員が原爆展を開いている。だが「被爆の実態はまだ十分に知られていない。さらに広めたい」とコンスタンティネスクさん。原爆資料館にポスターやＤＶＤの提供を掛け合い、展示説明文のルーマニア語訳では博物館側の協力を取り付けた。

　コンスタンティネスクさんは母国オーストリアでの兵役に代わるボランティア活動として、原爆資料館で１年２カ月間、翻訳業務などに従事した。今年３月末に広島を離れ、現在は親類のいるルーマニアで暮らしている。

（２００９年８月１４日朝刊掲載）