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カンボジアで歯科検診 広島大歯学部、医師派遣へ

■記者 桑島美帆

 広島大歯学部はカンボジアで歯科医療支援に乗り出す。広島のNPO法人が19~23日に現地へ派遣する保健医療支援団の中核として小学生の歯科検診に当たるほか、今後の留学生受け入れを現地の大学に打診する。歯学部はこれを機に、被爆地発の国際貢献の一翼を担う形で支援を続け、将来はアジアでの歯科教育拠点を目指す。

 カンボジアに向かうのは、高田隆・学部長をはじめとする歯学部の教授や研修医師ら5人と、歯学科や口腔(こうくう)健康科学科の学生11人。シェムリアップ州で小学生を対象に歯科検診し、学生は紙芝居を使って歯磨きの仕方や大切さを伝える。さらに来年度から留学生を広島で受け入れる計画を携え、首都プノンペンにある王立健康科学大を訪問する。

 事前調査のため今年2月に現地を訪れた高田学部長は「歯の診療体制が整わず、ほとんどの子が虫歯だった。同じ戦禍を経験した広島の大学として、息の長い支援に取り組みたい」と話している。

 保健医療支援団は、2005年からカンボジア支援を続けるNP0法人「平和貢献NGOsひろしま」が派遣。広島大病院の内科医師や広島経済大の学生らも加わり、総勢45人となる。現地で歯科検診に当たるのは今回が初めて。

 カンボジアではポル・ポト派による大量虐殺に歯科医師も巻き込まれたこともあり、世界保健機関(WHO)の09年版「世界保健統計」によると、歯科医師数は国内で209人。人口1万人当たり1人に満たず、日本の同7人、タイの同2人やマレーシアの同1人に比べて少ない。

(2009年9月5日朝刊掲載)

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