×

社説・コラム

平和市長会議 秋葉忠利会長に聞く 都市は市民の考えを代弁 増えていることに意味がある

 2020年までに核兵器廃絶の道筋を示す「ヒロシマ・ナガサキ議定書」を5月に発表する。来年の国連総会で採択してもらうための準備の年になる。主要国(G8)下院議長会議(議長サミット)も9月に広島である。参加する議長は生身の人間。原爆資料館を訪れて被爆者に会ってもらい、帰国後にいろんな活動に結びつくよう下支えをしたい。

 冷戦が終わった今、実は核兵器の問題はより深刻になっている。多くの人は米ロが核ミサイルを互いに向けるという態勢はなくなったと思っているが、変わってはいない。各国の核兵器使用に対する考えも同じ。核兵器の恐ろしさの知識も失われ始めた。

 核兵器が使われる可能性が高まる中で03年、平和市長会議としてそれまで啓発中心だった活動を転換した。核の実戦配備を解こうなどの具体的な目標を掲げ、20年までに核兵器を廃絶するという期限を設けて世界の都市に一緒に行動しようと呼び掛けた。その結果、加盟都市が2028と当時の3倍に増えた。

 背景にはいろんな要素があるが、まずは都市が「到達可能な目標だ」と感じたこと、(米国デュポール大の宮本ゆき准教授のような)個人や非政府組織(NGO)、国会議員などいろんなレベルの人が平和市長会議の訴えに共鳴して世界各地で広げてくれたこと、インターネットの普及などがある。

 大事なのは、都市は市民に一番近い存在でその考えを代弁しているということ。その都市が増えていることに意味がある。

年別アーカイブ