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社説・コラム

国際平和機関の広島誘致 中川秀直氏に聞く

■記者 北村浩司、山中和久

 被爆地広島に平和構築や核廃絶などを担う国際機関の誘致を目指し、超党派の国会議員による「日本に国連・国際機関等を誘致する議員勉強会」が発足した。代表世話人に就任した自民党の中川秀直元幹事長(広島4区)に展望などを聞いた。

 -勉強会の狙いは。
 日本は国連に相当の拠出金を出しているのに、それに見合う影響力を行使できていない。国連が機能強化するべきは平和構築と核廃絶を目指す核軍縮の2つで、日本が関与できる分野。国連改革の一環として広島に新たな国際機関の設立と誘致を目指す。

 -誘致する機関のイメージは。
 被爆体験を含む経験や日本が持つ知恵、技術などを平和インフラに役立てる枠組みができたらと思う。軍事面だけで平和は確立しない。みんなが共生、共存できる環境をつくらないと。地球温暖化や水、食糧などの問題も関連する。 国連機関は今や、国だけのものではない。自治体、非政府組織(NGO)など広く市民社会も構成メンバーだ。軍隊も排除すべきではない。国連平和維持活動(PKO)のうち医療など非軍事的な活動で新たな役割ができれば。軍隊の平和への活用でもある。

 -広島誘致の意義は。
 被爆地から平和構築に向けて問題を解決していくと同時に、核廃絶の運動を世界に広げていけば大きなうねりになる。「広島に行けば社会や平和に貢献するチャンスがある」との思いで世界から若い人に来てもらえる街にすることも、原爆で亡くなった人々に対する責任ではないか。

 -具体的な候補地は考えていますか。
 一広島県民としての理想は広島市民球場跡地だ。原爆ドームに近くてふさわしい。あの空間で野球が行われたのは平和復興を願う市民を勇気づけるためで、跡地も平和目的に使うべきだ。地元経済界からも賛同の声が寄せられた。市民や県民のみならず、国民の理解は十分得られる。

 -広島市、県など地元自治体との連携も重要になります。
 まだ話していない。まずは勉強会でまとめないと。9月に広島市である主要国下院議長会議(議長サミット)で時間をいただき表明したい。福田康夫首相にも国連総会で表明してもらいたい。並行して自治体、市民に知恵を出してもらう動きにしたい。

(2008年7月8日朝刊掲載)

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