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アフリカ非核条約 発効 世界で5番目 

■記者 金崎由美

 核兵器の開発や配備を禁止するアフリカ非核兵器地帯条約(ペリンダバ条約)が発効した。これで、世界で現在五つある非核地帯条約がすべて発効し、一国非核の地位を宣言したモンゴルを含めると、国連加盟192カ国の半数を超える119カ国が「非核の傘」で覆われた。

 発効済みのトラテロルコ条約(ラテンアメリカ・カリブ地域)ラロトンガ条約(南太平洋)バンコク条約(東南アジア)と合わせ、南半球の諸国はすべて非核地帯になった。今年になっての発効は3月の中央アジア非核地帯条約に続く。

 ペリンダバ条約は、アフリカ54カ国(国連未加盟で日本未承認の西サハラを含む)が対象。核兵器の開発、製造、取得、所有、核爆発装置の実験などを禁止する。条約の順守状況を検証する機関を設立し、この機関は同時に原子力の平和利用の推進母体となる。

 フランスがアルジェリアで1960年に実施した核実験で条約制定の機運が生まれた。南アフリカの核兵器放棄を経て、1995年に同国ペリンダバで最終合意し、1996年に42カ国が調印した。発効するには28カ国の批准が必要で、ブルンジが今年6月に批准し、7月15日にアフリカ連合(AU)に批准書を寄託したことで成立した。

 一方、条約締約国への核攻撃や威嚇をしないと核兵器保有国が約束する議定書は、米国とロシアが未批准のため発効していない。


発効の意義 ジンバブエのシディアスシク国連大使に聞く

 アフリカで非核兵器地帯条約が発効した意義について、このほど来日したジンバブエのボニフェース・シディアスシク国連大使(58)に聞いた。

  ―この時期に発効した意義をどう考えていますか。
 アフリカ大陸全体が「核兵器を持たず、他国による配備や持ち込みもさせない」との意思を明確にした。来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向け、とても前向きなメッセージだ。

 調印から発効まで13年かかったのは、特定の障害があったからではなく、手続き上の理由だ。批准する各国の議会にとって、審議すべき課題の優先順位はさまざまであり、どうしても一定の時間がかかる。

  ―米国やロシアが議定書を批准していない状況では、条約の意義が薄らぎませんか。
 確かに、われわれが一方的に非核を宣言しただけでは、核の恐怖から完全に解放されたとはいえない。すべての核保有国が核攻撃しないと誓約することが不可欠だ。この消極的安全保障を定めた議定書を批准するよう、米国やロシアへの働き掛けを続けたい。

  ―北東アジアなど他の地域に好影響をもたらすと思いますか。
 かつて核兵器を保有し、放棄した南アフリカがペリンダバ条約に加盟している。リビアも大量破壊兵器計画への野心を捨て、核兵器を必要としない安全保障への道を選択した。

 核兵器の価値や役割を認めないことが「ゼロ」への一歩となる。ほかの地域もアフリカに続くべきだし、それは可能だ。特に中東に広がってほしい。

(2009年9月14日朝刊掲載)  

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