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被爆建物守り生かそう 広島でシンポ 旧理学部館活用策探る

■記者 和田木健史

 被爆建物の広島大旧理学部1号館(広島市中区)の保存や活用策を考えるシンポジウムが13日、広島市中区であった。広島平和記念都市建設法の制定60周年を機に開催。市民たち約70人が原爆の悲惨さを今に伝える建物をどう守り生かすか、理解を深めた。

 専門家3人が基調講演した。広島大大学院の布川弘教授は「(同法は)広島を恒久平和の象徴と規定し、世界へ誓約した。1号館をどうするかは市民にかかっている」と保存に向けた市民合意をつくる必要性を指摘。広島大文書館の石田雅春助教は「動かぬ証拠」の意義を強調し「公的機関が率先して守るべきだ」と述べた。

 渡辺一雄・広島大名誉教授は、最先端医療や健康などを扱う自然史系の博物館としての活用を提唱した。パネルディスカッションでは、国連大学などの誘致や、世界遺産の原爆ドーム(広島市中区)と関連づけた再活用を求める声も出た。

 シンポは、被爆建物の保存に取り組む市民団体や郷土史の研究者グループなどが開いた。

(2009年9月14日朝刊掲載)

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