×

ニュース

天野氏「核不拡散に全力」 IAEA 次期事務局長を承認

 国際原子力機関(IAEA)の最高意思決定の場である年次総会が14日、ウィーンで開幕し、7月のIAEA事務局長選で当選した日本の天野之弥(ゆきや)核不拡散・原子力担当大使(62)を次期事務局長として正式承認した。12月1日付でエルバラダイ事務局長の後任に就任する。任期は4年。

 オバマ米大統領が「核なき世界」を掲げ核軍縮への機運が高まる一方、北朝鮮やイランの核問題への対応など課題は山積している。唯一の〝被爆国〟日本から選出された天野氏は、受諾演説で核兵器の不拡散に全力を挙げるとともに、原子力の平和利用を追求する考えを強調した。IAEA事務局長としてはアジア初の選出。総会では、各加盟国が拍手による全会一致で天野氏を承認した。

 天野氏は受諾演説で「世界は核拡散と核テロリズムの危険に直面する一方、増大するエネルギー需要を前に原子力発電や医療面の活用など原子力の平和利用が求められている」と強調。その上で、核物質の軍事転用に目を光らせる査察活動などから「核の番人」とも呼ばれるIAEAの役割について「単なる『核の番人』であってはならない。核兵器の不拡散を確実にするとともに、原子力の平和利用をバランスよく求めていきたい」と述べた。

 天野氏は1972年に外務省入省。軍縮不拡散・科学部長を経て2005年から2009年8月までウィーン国際機関代表部大使。2005~06年にIAEA理事会議長を務めた。

(共同通信配信、2009年9月15日朝刊掲載)

関連記事
社説 IAEA事務局長 被爆国の立場を生かせ(09年7月 7日)
IAEA次期事務局長 天野氏任命 外務省出身の識者に聞く (09年7月 6日)
IAEA事務局長に天野氏 被爆国から アジア初の「核の番人」(09年7月 4日)

年別アーカイブ