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日米同盟深化で一致 初の首脳会談 核軍縮へ連携

 鳩山由紀夫首相とオバマ米大統領は23日午前(日本時間同日夜)、ニューヨークで初めて会談し、21世紀の新たな時代に対応できるよう日米同盟を深化させていく方針で一致した。地球温暖化対策や核軍縮、北朝鮮の核・拉致問題解決で連携する方針でも合意。世界経済の危機克服に向けた日米の緊密な協調を確認した。

 首相は日米同盟について「これからも日本にとって安全保障の基軸になる。深化させたい」と表明。大統領は会談後「日米同盟は両国の安全、経済の基盤だ。同盟は21世紀にもっと強くなる」と記者団に述べた。

 両首脳は北朝鮮核問題をめぐり、6カ国協議の枠組みが有効との認識で一致。首相は6カ国協議の枠内で米朝協議を実施するよう要請した。

 アフガニスタン安定のため、首相は雇用創出や職業訓練など民生分野で支援すると表明。パキスタン支援も強化すると伝えた。

 首相は、大統領が4月にプラハの演説で提唱した「核なき世界」に向けた取り組みを高く評価。唯一の被爆国である日本としても、米国とともに核軍縮へ主導権を発揮していく用意があると伝えたとみられる。

 温暖化対策をめぐり、首相は2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減する中期目標を設定するとあらためて言明した上で、米国など主要排出国が京都議定書に続く新たな国際枠組みに参加する重要性を指摘。両首脳はクリーンエネルギー開発などで日米協力を強化することで一致したもようだ。

 会談時間は約25分間だった。オバマ大統領が11月に来日する日程を正式に確認。在日米軍再編、インド洋での海上自衛隊による給油活動の撤退問題は議論されなかった。


<解説>「対等な関係」道険し

 鳩山由紀夫首相はオバマ大統領との初の首脳会談で新政権でも、日米同盟が日本外交の基軸であることに変わりないと確認。この会談を起点として首相は「対等な日米関係」という新たな地平を目指すが、欧州と違い依然、不安定なアジア情勢をにらみながらの道のりは険しい。政権交代した日本は、同盟関係にどんな変化を求めてくるのか。米側の抱く懸念は当面、くすぶり続けそうだ。

 在日米軍再編見直しや日米地位協定改定といった日米間の懸案を本気で決着させようと考えるなら、首脳間の腹を割った話し合いが欠かせない。首相が描く「東アジア共同体」構想も米国の理解がなければ、絵に描いたもちに終わってしまう。オバマ大統領と個人的な信頼関係を醸成できるかが「鳩山外交」成否の鍵を握るだろう。

 オバマ政権は、ブッシュ政権時に米国が単独行動主義に陥った反省から地球温暖化対策、北朝鮮、アフガニスタン、イランなどの国際的課題で多国間の枠組みを重視している。

 日本が世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献し存在感を増すためには、米国一辺倒の「単線外交」ではおぼつかない。日米同盟、中韓など対アジア関係を複線的にとらえる視点が必要だ。10月から11月にめじろ押しの首脳外交で、鳩山首相の外交手腕が試される。


首脳会談要旨

 ▽日米関係
 鳩山由紀夫首相 これからも日米同盟は日本にとって、安全保障の基軸になる。深化させたい。
 オバマ米大統領 日米同盟は両国の安全、経済の基盤だ。日米同盟は21世紀にもっと強くな
 る。
 両首脳 大統領の11月訪日を確認。
 ▽経済危機対応
 両首脳 世界経済の危機克服に向け、日米は緊密に協調していく。
  ▽北朝鮮
 両首脳 拉致、核問題で日米は協力して解決を目指す。北朝鮮の核保有、核開発は容認しない。
 6カ国協議は問題解決の有効な枠組みだ。
 首相 米朝会談は6カ国協議の枠内で、北朝鮮の核放棄に資する形で行われることが重要だ。
 ▽アフガン支援
 首相 アフガニスタン支援は民生分野で貢献する。
 ▽環境、核不拡散
 両首脳 地球温暖化対策、核不拡散問題で連携していく。
(ニューヨーク共同)


首脳会談の同席者

  【日本側】
 岡田克也外相、松野頼久官房副長官、藤崎一郎駐米大使、林景一官房副長官補

  【米側】
 クリントン国務長官、ライス国連大使、キャンベル国務次官補

(共同通信配信、2009年9月24日朝刊掲載)

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