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社説・コラム

絵本で伝える被爆体験 豪在住の森本さんが広島で講演

■記者 水川恭輔

 広島市出身の被爆者で、原爆をテーマにした作品があるオーストラリア在住の絵本作家森本順子さん(77)が22日、安佐南区の広島共立病院で講演した。病院職員や地域の住民約30人が参加した。

 森本さんは広島女学院高等女学校2年の時、爆心地から約1・7キロの現西区三篠町の自宅で被爆した。講演では「低いギターの弦のようなB29の音を聞いた瞬間、すごい光線と裂けるような音に包まれ『死ぬ、死ぬ』と思いながら気を失った」と語った。

 1988年出版の絵本「わたしのヒロシマ」の英語版がオーストラリアの小学校で平和教育の副読本に使われていることも紹介。「戦争は人間がつくる。エゴという人間の弱点を良い方に変えるため、描き続ける」と力を込めた。

 森本さんは脳腫瘍(しゅよう)の原爆症認定申請を検討中。19日から検査入院しており、被爆者医療にかかわる病院が講演依頼をした。

(2009年6月23日朝刊掲載)

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