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惨禍の記憶・核廃絶の願い継承 被爆者が投稿「自分史」200号

■記者 岡田浩平

 被爆者がつづる自らの半生や核兵器廃絶への願いを紹介する小冊子「自分史つうしん ヒバクシャ」が今月で200号になった。日本被団協の元事務局員、栗原淑江さん(62)=東京都杉並区=が1993年2月に創刊。足かけ17年で延べ約600人の投稿を載せた。被爆の記憶を次代に伝える役割も増している。

 各号B5判で約20ページ。200号では4人の投稿を紹介する。「核兵器は破壊、根絶のほか何ひとつもたらさない。被爆者は身をもって学んだ」「オバマ大統領が核廃絶の決意を表明し米国は変わる。変わらないのは被爆国政府の対応ではないか」。惨禍の記憶を心身に刻む被爆者の言葉が重く響く。

 栗原さんは91年に被団協を退職。社会保険労務士として働く傍ら、「生きた軌跡を形にして残しては」と、親しい被爆者に自分史の執筆を呼び掛けた。毎月1回、友人らの手伝いも得て発行してきた。

 「被爆体験に限らず戦前からの人生の起伏を丸ごと書いてもらった。読む側の共感も深まるし、体験も浮き彫りになった」。創刊時は20人弱だった送付先は今、欧米も含め640人を数え、4割が被爆者だ。

 ただ、高齢化で書き手は年々減っている。栗原さんは「書いてもらうだけでなく、若い人に聞き書きしてもらうとか幅を広げたい」。継承の場として発展を目指す。

(2009年9月25日朝刊掲載)

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