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平和の陶額 米大統領へ 竹原出身の陶芸家今井さん 

■記者 白石誠

 竹原市出身で日本芸術院会員の陶芸家今井政之さん(78)=京都市山科区=が、11月に来日するオバマ米大統領に寄贈しようと、平和を願う陶額を完成させた。核廃絶を唱えた4月のプラハ演説に共鳴。「平和あっての芸術。広島で育ち核廃絶を何よりも願う」との思いを込めた。

 陶額は縦75センチ、横54センチで重さ約11キロ。原爆ドームと、頂上で平和の象徴として鶴が羽を広げている姿を、素地に別の色の土を埋めて模様をつくる面象嵌(ぞうがん)で仕上げた。「平和」の2字も刻んだ。

 プラハ演説を聞いて「平和のために何ができるか」と自問し、制作を決意。制作拠点として30年以上になる豊山窯(竹原市高崎町)で、東広島市の土を使い6月に焼き上げた。

 面象嵌の第一人者で日展常務理事を長く務める。原爆投下時は竹原市内の工場に学徒動員され、空がピカッと光るのを見た。「竹原駅にも、けが人が続々とやってきた。戦争はひどいものだと思った」と振り返る。

 それだけに、世界平和を訴える大統領に心を動かされた。「核廃絶は世界中の願い。ヒロシマのメッセージを託した作品を通じ、廃絶への認識を深めてもらいたい」と期待する。大統領に直接渡せるか外務省などを通じて贈るかは未定だが、ホワイトハウスに飾ってほしいと願う。

 同じ構図の姉妹作1点を広島県に寄贈し、広く鑑賞できる場に飾ってもらう予定。10月1~7日、福屋八丁堀本店(広島市中区)での傘寿記念展で姉妹作を初公開する。

(2009年9月25日朝刊掲載)

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