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社説・コラム

広島でIPPNW地域会議 片岡勝子・日本支部事務総長に聞く

■記者 林淳一郎

 広島市で22、23日、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)北アジア・南アジア合同地域会議が開かれる。核兵器保有国からの参加者も交えて意見交換する会議の意義や焦点について、主催する日本支部事務総長で広島大名誉教授の片岡勝子さん(65)に聞いた。

  ―会議の柱をどう位置付けていますか。
 来年春の核拡散防止条約(NPT)再検討会議をいかに実のあるものにしていくことができるか、会議に集う医師たちで考えていきたい。成果の乏しかった前回(2005年)の再検討会議と同じ轍(てつ)を踏まないよう、被爆国を含むアジアから核兵器廃絶に向けた問題提起をしたい。

  ―会議のテーマ「We CAN 核兵器廃絶、今こそ好機!」に込めた思いは。
 4月のオバマ米大統領のプラハ演説は、核兵器廃絶の実現を予感させ、世界の人々を勇気づけた。この機を逃せば、針は逆に振れ、さらなる核拡散を招きかねない。医師の組織として、核兵器を造り、使う危険性、とりわけ放射線が人体に与える影響の深刻さを広く知らせていきたい。

  ―インド、パキスタンからの参加者に何を期待しますか。
 両国から参加申し出があった。医師や医学生、その家族も来る。原爆資料館などを案内する。被爆者医療の学問だけでなく、心でしっかりとヒロシマを受け止めてもらいたい。

  ―北朝鮮の核実験を踏まえ、北東アジア地域の安全についてはどう議論しますか。  国内事情を理由に北朝鮮、韓国からの参加はないが、北朝鮮からはメッセージが寄せられる。私たちは核実験に過剰反応するよりも、朝鮮半島に暮らす被爆者の健診や医療支援が大事だと考えている。地道な活動が平和への一歩になることを議論したい。会議は市民の参加も受け入れる。より多くの人と意見交換や交流を深め、廃絶を願う人の束を少しでも太くしたい。

 合同地域会議は広島市中区、広島国際会議場で。参加国は中国、モンゴル、インド、パキスタン、バングラデシュ、ネパール、スリランカと日本。問い合わせは広島県医師会内のIPPNW日本支部事務局Tel082(232)7211。

(2009年8月20日朝刊掲載)

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