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社説・コラム

コラム 視点 「復興支援 実態を知り、より多くの日本人が参加を」

■センター長 田城 明

 先月末、新潟市であった国連軍縮会議に出席中の日本紛争予防センター事務局長、瀬谷ルミ子さんに会った。「ひろしま国」への寄稿や講演でお世話になっている彼女にお礼を述べると同時に、会議の感想を聞いた。

 「私の仕事では核問題に直接タッチすることがないので、新しいことを学ぶつもりで聞いています」。アフリカやアフガニスタンの紛争地や紛争終結後の現場で、復興支援や平和構築のために活動を続けてきた瀬谷さん。確かに、その場で解決の手段や行動を求められることの多い紛争地と違って、解決に時間を要する核軍縮や廃絶に向けての議論は、同じ平和の問題を扱っていても、やや性質を異にするものであろう。

 現地では運びやすい小型武器の方がはるかに深刻な問題を投げかけている。紛争再発防止のために、対立していた双方から武器を回収し、兵士たちを職業訓練して新しい仕事に就かせることなど容易には解決できない。現場で培ったノウハウと粘り、そして何よりも双方からの信頼が求められる。

 そのうえ、多くの場合、飢えや病気に苦しむ人々が目の前にいる。水や食糧不足、衛生問題とも向き合わなければならない。

 戸惑うことも少なくない。だが、瀬谷さんは「やりがいもある」と言う。平和な社会が戻り、大人や子どもたちに笑顔が広がる。人々の喜ぶ姿こそ、彼女の活動を支えているのだろう。

 戦争体験や被爆体験に根ざした平和憲法の精神を生かしながら、日本人としてどのような国際貢献が可能なのか。瀬谷さんをはじめ復興支援などに既に取り組んでいる人々の活動を広く知らせることがまず肝要だろう。

(2009年9月7日朝刊掲載)

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