×

ニュース

鳩山首相演説 被爆者ら「希望感じた」 米依存 見直し求める声も

■記者 林淳一郎

 核兵器廃絶の先頭に立つ―。被爆国を代表して鳩山由紀夫首相は国連の舞台で宣言した。一夜明けた25日、広島の被爆者からは歓迎する声が上がった。識者も評価し、日本が今後とるべき具体的行動を求めた。

 「希望を感じた」と話すのは、今年5月に米国であった核拡散防止条約(NPT)再検討会議準備会合の集会で被爆証言をした田中稔子さん(70)=広島市東区。「できるだけ早く核兵器を廃絶してほしい思いも募るが、着実に目標へ向かうためにも廃絶への強い意志を貫いて」と願う。

 広島県被団協(坪井直理事長)の木谷光太事務局長(68)は、世界の指導者に被爆地訪問を呼び掛けたことを評価。「米国やロシアなど現役の大統領や首相が原爆の惨禍を知れば、廃絶への決意はさらに強まるはず。われわれ被爆者も尽力する」と力を込める。

 もう一つの県被団協の金子一士理事長(83)も「被爆地訪問の呼び掛けは、日本が核兵器廃絶の先頭に立つための重要な要素」と位置付ける。

 一方、日本の取るべき行動について、明治学院大の高原孝生教授(54)=国際政治・平和研究=は「オバマ米大統領任せではだめ。米国の『核の傘』の下にいるのが当たり前になっている日本は現状を見つめ直し、議論を始めるべきだ」。

 広島修道大の佐渡紀子准教授(36)=国際安全保障=は「米国も核削減を進めようとしている。同盟国日本が核抑止力は要らないと、米国に伝えることが肝心」と強調した。


意義ある演説 秋葉市長が評価

 広島市の秋葉忠利市長は25日、記者会見し、鳩山由紀夫首相が国連の安保理首脳級会合で核兵器廃絶運動の先頭に立つと表明したことを「日本外交を大きく変えた」と評価した。

 秋葉市長は、鳩山首相の演説について「被爆者の思いを国際社会に向かってきちんと訴え、大変意義がある」と強調。来年5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向け、「オバマ米大統領と手を組み、世界を引っ張る役割を果たしてもらえるとの希望を持てた」と述べた。

(2009年9月26日朝刊掲載)

関連記事
指導者 広島・長崎へ 首相呼び掛け(09年9月25日)

年別アーカイブ