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『核兵器はなくせる』 CTBT促進会議が閉幕 発効へ期待高まる

■記者 金崎由美(ニューヨーク発)

 国連本部で開かれていた包括的核実験禁止条約(CTBT)発効促進会議は25日午後(日本時間26日未明)、2日間の日程を終え、閉幕した。

 最終日は非政府組織(NGO)代表として、カーネギー国際平和財団(米国)のジェシカ・マシューズ所長が、未署名・未批准の9カ国を名指しし、条約への参加を訴えた。

 同所長は、中国に対して「何年も前から『検討中』としながら、行動がまったくない」と批判。北朝鮮には核実験をしないよう強く求めるとともに、6カ国協議への早期復帰を説いた。中東諸国とインド、パキスタンには「批准こそが地域の緊張緩和につながる」とアピールした。

 CTBTは、爆発を伴う核実験を全面的に禁止する条約。181カ国が署名を済ませ、うち批准済みは150カ国。1999年から2年ごとに発効促進会議を開催しており、今回で6回目。発効要件国でありながら未批准の米国や中国を含む103カ国が出席した。

 未署名の印パ両国、北朝鮮は参加しなかった。

 CTBT調印13周年にあたる24日から2日間、国連本部であった発効促進会議。すべての国に批准を訴えた国連安全保障理事会首脳級会合の「核兵器のない世界」決議、10年ぶりの米国復帰など「風」を受けての開催となった。ただ依然として発効へのハードルは高い。

 会議の冒頭、国連の潘基文(バンキムン)事務総長は「CTBTは『核兵器のない世界』に不可欠。次回は発効を祝う会議となってほしい」と強調した。

 米国のオバマ政権が、CTBTに冷淡だった前政権の政策を百八十度転換したことで、風向きはがらりと変わった。被爆国日本も、国連外交デビューとなる岡田克也外相が「発効への流れを確たるものとする」措置として、未批准国への特使派遣などを含む「発効促進イニシアチブ」を披露した。

 しかし、現実は厳しい。発効には北朝鮮、イランを含む9カ国の批准が必要だからだ。

 米国内の一部でも条約への批判は根強い。クリントン国務長官は「CTBTは不拡散、軍縮の要。上院の批准へ必要な措置に取り組む」と宣言した。ただ夫のクリントン政権下の1999年10月、上院が批准を否決したままの状態を打開できる妙案はない。

 一方、条約の重要性が増しているのも事実だ。「北朝鮮の核実験を機に、条約の必要性があらためて浮き彫りになった」(アイルランド代表)。やっと吹き始めた追い風を生かし、どう加速できるか。これまで以上に国際社会の結束が求められる。

(2009年9月27日朝刊掲載)

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