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社説・コラム

米国防戦略見直し 広島市立大広島平和研究所 水本和実准教授に聞く

■記者 林淳一郎

 米国防総省が発表した「国防戦略見直し(QDR)」は同盟国日本にとってどんな意味を持つのか。広島市立大広島平和研究所の水本和実准教授(52)=写真・国際政治=に聞いた。

 国際協調を重視するオバマ大統領の特色が全面に織り込まれた内容とは思えない。米国内のせめぎ合いが表れた結果ではないか。  日本にも関係するアジア戦略では、中国の軍備拡大への警戒が目立つ。しかし、QDRは米国の安全保障上の脅威を挙げて軍事戦略を描くもの。これだけで判断せず、国家間の摩擦に歯止めをかける外交政策に注目していく必要がある。米国も中国との敵対は得策ではないと考えているはずだ。

 それは日本にもかかわる。中国や北朝鮮の軍事力はどれほど脅威なのか。米国のとらえ方に従うのではなく、独自に分析し、自らの安全保障政策を描くことが肝心。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設も、もっと国民の間で議論を高めて答えを出す課題だ。

 同盟国日本への核抑止力の堅持は、オバマ大統領も繰り返し言及している。ただ、核兵器の廃絶まで日本が何もしなくていいわけではない。日本が非核政策をとるのであれば、核兵器に頼らない安全保障の道を追求する必要があろう。

 国際的にみれば、日米同盟は軍事同盟。しかし幅広い日米関係の一分野であり、深化すべきは、その両国関係ではないか。オバマ政権も軍事大国のかじ取りに苦心している。日本も米国を納得させる安全保障の在り方を模索するときにきている。(談)

(2010年2月3日朝刊掲載)

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