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社説・コラム

『記者手帳』 子ども記者 鋭い感性 

■ヒロシマ平和メディアセンター 二井理江

 パソコンをのぞき込む中高校生の目が画面にくぎ付けになった。「低い。悔しい」「何でじゃろう」と声が上がる。農林水産省のホームページにある、食材の自給率を調べるサイトだった。子どもたちは、中国新聞に月2回連載している「ひろしま国 10代がつくる平和新聞」の記者。4月26日付のテーマ「食料危機」について、自分たちが自宅で食べたメニューを調べていたのだ。

 日本の食料自給率は41%。主要国で最低とされる。カロリーベースなので低カロリーの野菜や果物が反映されにくい実情があるものの、このサイトで計算するとその数字に驚く。しょうゆの平均自給率は0%、塩は13%。みそも21%しかない。日ごろ食べている料理にいかに輸入食材が増えているか―。調べた3人の食事の自給率は最高51%にとどまった。

 子どもたちの感性は鋭い。素直に反応する。食料危機を防ぐ策として「自分で野菜を作る」「食べ残しをしない」「地産地消に努める」などと紙面で提案した。

 今月に入って、その時の取材先からトマトの苗が届いた。早速育てようと各自が自宅に持ち帰っている。自給率の低さが身に染みた上での栽培。実がなった時の反応が今から楽しみだ。

(2010年5月17日朝刊掲載)

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