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社説・コラム

『記者手帳』 臆せず取材 頼もしい 

■ヒロシマ平和メディアセンター 二井理江

 「取材は無理です」。報道担当者の言葉に慌てた。連載「ひろしま国 10代がつくる平和新聞」のジュニアライター2人も、隣で顔をこわばらせている。広島市内で今月あったノーベル平和賞受賞者世界サミット。参加者の一人、イランの人権活動家シリン・エバディさんに申し込んでいたインタビューが不可能だというのだ。

 国際会議の合間の取材だから、時間は制約され、立ち話だけになるかもしれない。そう心配し、約1カ月前には取材を依頼。「3日間の会期中に」と快諾も得ていた。

 サミット初日の昼前。担当者から「今日の午後4時半から。それ以外は駄目」と告げられた。平日の金曜。学校にいるジュニアライターに連絡し、授業が終わると会場に駆け付けてもらった。質問内容も急いで打ち合わせた。そうして迎えた約束の時間に、突然のキャンセル通知だった。

 苦労してくれた担当者には申し訳ないと思いつつも、引き下がれない。粘って交渉した末に、「翌日午前11時」と再約束をもらうことができた。とうに日が暮れていた。

 結局、当日も1時間遅れでインタビューは始まった。それでも子どもたちは臆(おく)せず、集中力を保ったまま堂々と質問した。エバディさんも丁寧に答えてくれた。29日付の「ひろしま国」で紹介する。

(2010年11月28日朝刊掲載)

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