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時計が語る原爆の悲劇 資料館で企画展

■記者 東海右佐衛門直柄

 広島市中区の原爆資料館東館3階で2日、企画展「最期の時を刻んだ時計」が始まった。原爆の熱線や火災で焼け焦げた時計9点と、被爆体験を時計の記憶と重ねて描いた絵3点を展示している。来年1月6日まで。

 唯一の懐中時計は、54歳で被爆死した杉山巌さんが身に着けていた。文字盤が焦げた時計は、勤務先の三菱銀行広島支店(現中区本通)跡で遺体とともに見つかった。時計で身元が確認できたという。

 会場には腕時計や壁掛け時計も並び、所有者の遺影と被爆状況の説明文が添えられている。惨状を伝える絵には、やけどで腫れた腕に時計が食い込んだ被爆者の姿が描かれている。見学していた福山市の福山暁の星小5年土井佳菜子さん(11)は「どんな気持ちで亡くなったのかを想像すると悲しい」と話していた。

(2009年10月3日朝刊掲載)

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