×

社説・コラム

松井一実・新広島市長インタビュー 意思決定 過程を透明化

■聞き手 報道部長・高本孝

 広島市の松井一実新市長に11日、旧市民球場(中区)の跡地利用計画など市政の懸案や市政運営のスタンスについて聞いた。推薦を受けた自民、公明の両党の市議が議会の過半数を占める中、「なれ合い」と受け取られないよう意思決定の過程を透明化すると強調した。

 ―16万5千票を得て大差で当選しました。受け止めは。
 知名度がない中で自民、公明の両党の国会議員、県議、市議の支持者をしっかりとまとめていただいた。

 ―松井さんを支持した市議を合わせると、議会の過半数を超えます。なれ合いが生じませんか。
 外部から、なれ合いと見られるのは結論に至るプロセスが示されていないから。合理的に説明できればそうとは受け取られない。説明責任を果たしたい。

 ―選挙戦では緑地広場などを整備する旧市民球場跡地利用計画は見直すと訴えました。
 跡地は若者を中心としたにぎわいの場にするという方向性を示す。その方針に沿う形で議論いただきたい。

 ―平和市長会議は2020年までの核兵器廃絶を掲げています。
 軍事力をコントロールする政府と、市民生活を守る市では立場が違う。廃絶は全力で訴えるが、達成させる立場にはない。廃絶を目指すといっても実質的にはお願いするということ。権限を持っている人には訴え続ける。

 ―広島県営広島西飛行場(西区)の市営化を県に要請しますか。
  なぜ広島空港が移転したのか。県全体の交通体系をどう考えてきたのか、県と腹を割って話す。

 ―行財政改革にはどう取り組みますか。
 市の財政規模では間に合わないほどの市債を抱えている構造を立て直すため市民に協力を求めたい。そのためにも市長、職員、議会の人件費に切り込み、メッセージを発する。

 ―競争を促す今の入札制度の見直しも公約に掲げました。理由は。
 競争を促すことはそれはそれで有効だったが、行き過ぎた感がある。入札の門戸を開くと割安で事業ができる特定企業が市場を独占する可能性がある。地域に必要な企業群を一定に保護する面があってもいい。地場企業や地元の人が働く場所、生活基盤を壊してまで進めるべきではない。

(2011年4月12日朝刊掲載)

年別アーカイブ