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社説・コラム

就任3ヵ月 松井・広島市長に聞く

■記者 藤村潤平

球場跡地 9月にも検討委
被爆者の思い 平和宣言に

 117万都市のリーダーに就任して3カ月を迎えた広島市の松井一実市長に、市政運営の手応えや初めて平和記念式典に臨む思いなどを聞いた。

 ―自己評価は。
 おおむね自分の考え通りに進んでいる。「市政を変革する」と言った。外から見ると面白くないかもしれないが、自分が官僚としてやってきた行政のやり方へと少しずつ変えている。

 ―旧市民球場(中区)の跡地利用の見直しは、いつごろ具体的な動きになりますか。
 今は平和宣言の作成など8月6日に向けて一生懸命。盆明けには検討委員会の枠組みや議論の素材をつくり内部で協議を始める。順調に進めば9月にも検討委を設置したいが、全体のスケジュールや職員間の意思統一ができるまでゴーサインを出さないつもりだ。

 ―広島県営広島西飛行場(西区)の跡地はどう利用しますか。
 市のありようを決するぐらい広大な土地だ。いろんな夢を持っている人がおり、議論に十分耐え得る素材だ。思いを持つ人が一堂に会して議論できる仕掛けがほしい。市長としては、方向性をコントロールしながら調整役として議論を進める立場で活躍したい。

 ―被爆者援護に関する発言は波紋を広げました。公人の言葉の重みをどう考えますか。
 すごく重い。自分自身の発言が、もし特定の方の思想を根っから否定するような受け取られ方をされたのなら、今まで以上に気をつけなければいけない。

 ―被爆地の市長としての実感は。
 人前で「原爆をなくせ。平和でなきゃいかん」と言った時にどんな方も深くうなずく。すごく広島らしい。被爆者のみなさんは自分たちが体験し、理屈抜きで思っておられる。その思いを伝えていくことが私の使命だ。

 ―初めて平和宣言を読み上げます。どんな内容にしますか。
 今までの平和宣言の継続性と独自性をどう調整するかに苦心している。少なくとも(任期中に)4回は平和宣言を書く。8月6日や復興過程などいろんなプロセスがある。それらを4回の中でうまく展開し、いろんな切り口で整理できないかと考えている。

 ―自身の被爆2世としての思いを宣言に盛り込むのですか。
 被爆2世は強調したくない。特定の人だけで平和の思いを受け継ぐのでは意味がない。市民という形で広島を支えるみんなが、被爆者の思いを共有するべきだ。

(2011年7月16日朝刊掲載)

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