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61年前 米教会に送った書画48点 再会願い広島で展示計画 本川小同窓生

■記者 森田裕美

 終戦間もない1947年、爆心地に近い広島市立本川小学校(中区)の子どもたちが米国の教会に送った絵と書の「一時帰郷」を、当時の児童たちが計画している。海を渡って贈られてきた文房具への感謝の気持ちを込めた作品。輸送費が工面でき、広島での「再会」がかなえば今夏にも市内で展示会を開く。

 ワシントンのユニテリアン・オールソウルズ教会が所蔵する48点。被爆地の物不足を知った牧師が46年、広島市内の小学校へ絵の具とクレヨンを届けたことへの返礼だった。牧師が寄付を募って贈った背景には、原爆投下を称賛する米国世論への反発もあったとされる。

 一昨年、ワシントンを拠点にする広島県生まれの舞台芸術家重藤静美さんが、被爆の惨劇にめげず希望に満ちた子どもたちの作品に出会い、感動。傷みの修復に携わるとともに、その模様や日米でゆかりの人を取材し、記録映画の制作を始めた。

 作品の「一時帰郷」は、当時作品を送った中区のすし店経営東川源治さん(70)たちが昨年、映画の取材を受けたのを機に持ち上がった。宮島の厳島神社のスケッチが残っていた東川さんは「何とか再会したいねえ」と思いを募らせる。

 9日夜の同窓会役員会には、東川さんたち6人が集まり、展示会に向けた企画案を出し合った。開催場所は今後詰めるが、市中心部での今夏の実現を目指している。

 妹が描いたグラジオラスの絵との対面を待ちわびる会社社長泰田康二朗さん(70)=中区=は「国同士は戦争をしても、民間には友好や良心があった。そんな希望を感じる。ぜひ多くの人に見てもらいたい」と力を込める。

 同窓会は、作品を送った児童48人のうち20人の所在を確認。引き続き消息をたずねるとともに、輸送費を工面するため、広く寄付を呼び掛けている。家庭寿司(ずし)東川さんTel082(233)3236。

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