『潮流』 リセットすべきは…
11年11月30日
■論説副主幹 江種則貴
米国との冷えた関係を「リセット」するのはもうやめた―。ロシアがそう言いだした。
欧州で米国がミサイル防衛(MD)建設を進めるならば、ロシアは新戦略兵器削減条約(新START)から脱退も辞さないという。
新たな核兵器開発国が現れないよう核ミサイルを撃ち落とすMDを配備する。米国はそう言うが、真の標的は自分に向いているのではと疑っているのだ。
さらに対抗手段として、MDを攻撃する最新ミサイルや、MDをかいくぐる新型核ミサイルの実戦配備を急ぐ構えも見せている。
これでは互いに不信感を募らせた冷戦時代に逆戻りではないか。
「リセット」はオバマ大統領の登場以来、米ロ双方の合言葉となった。核超大国がいがみ合っていては、核拡散を食い止めることもできない。新STARTは両国の関係改善の象徴でもあった。
2年前を思い出す。新START締結交渉のヤマ場で、米国務長官とロシア外相が一緒にリセットボタンを押して友好ムードを演出する場面があった。
ところが米側は用意した小道具でミスを犯した。ロシア語で「リセット」と書くつもりがスペルを間違え、荷物の「積み過ぎ」を意味する言葉になってしまった。
両国は今なお核兵器やミサイルを「持ち過ぎ」ている。あの失敗は、そんな現状を予言する大いなる皮肉だったのかもしれない。
今回のロシアの強硬姿勢は、来年の大統領選に向けて政権基盤を固めようという国内向けパフォーマンスともみられる。
だが、真にリセットすべきものはほかにある。両国に染みついている核兵器依存体質そのものだ。
米国との冷えた関係を「リセット」するのはもうやめた―。ロシアがそう言いだした。
欧州で米国がミサイル防衛(MD)建設を進めるならば、ロシアは新戦略兵器削減条約(新START)から脱退も辞さないという。
新たな核兵器開発国が現れないよう核ミサイルを撃ち落とすMDを配備する。米国はそう言うが、真の標的は自分に向いているのではと疑っているのだ。 v さらに対抗手段として、MDを攻撃する最新ミサイルや、MDをかいくぐる新型核ミサイルの実戦配備を急ぐ構えも見せている。
これでは互いに不信感を募らせた冷戦時代に逆戻りではないか。
「リセット」はオバマ大統領の登場以来、米ロ双方の合言葉となった。核超大国がいがみ合っていては、核拡散を食い止めることもできない。新STARTは両国の関係改善の象徴でもあった。
2年前を思い出す。新START締結交渉のヤマ場で、米国務長官とロシア外相が一緒にリセットボタンを押して友好ムードを演出する場面があった。
ところが米側は用意した小道具でミスを犯した。ロシア語で「リセット」と書くつもりがスペルを間違え、荷物の「積み過ぎ」を意味する言葉になってしまった。
両国は今なお核兵器やミサイルを「持ち過ぎ」ている。あの失敗は、そんな現状を予言する大いなる皮肉だったのかもしれない。
今回のロシアの強硬姿勢は、来年の大統領選に向けて政権基盤を固めようという国内向けパフォーマンスともみられる。
だが、真にリセットすべきものはほかにある。両国に染みついている核兵器依存体質そのものだ。
(2011年11月30日朝刊掲載)
米国との冷えた関係を「リセット」するのはもうやめた―。ロシアがそう言いだした。
欧州で米国がミサイル防衛(MD)建設を進めるならば、ロシアは新戦略兵器削減条約(新START)から脱退も辞さないという。
新たな核兵器開発国が現れないよう核ミサイルを撃ち落とすMDを配備する。米国はそう言うが、真の標的は自分に向いているのではと疑っているのだ。
さらに対抗手段として、MDを攻撃する最新ミサイルや、MDをかいくぐる新型核ミサイルの実戦配備を急ぐ構えも見せている。
これでは互いに不信感を募らせた冷戦時代に逆戻りではないか。
「リセット」はオバマ大統領の登場以来、米ロ双方の合言葉となった。核超大国がいがみ合っていては、核拡散を食い止めることもできない。新STARTは両国の関係改善の象徴でもあった。
2年前を思い出す。新START締結交渉のヤマ場で、米国務長官とロシア外相が一緒にリセットボタンを押して友好ムードを演出する場面があった。
ところが米側は用意した小道具でミスを犯した。ロシア語で「リセット」と書くつもりがスペルを間違え、荷物の「積み過ぎ」を意味する言葉になってしまった。
両国は今なお核兵器やミサイルを「持ち過ぎ」ている。あの失敗は、そんな現状を予言する大いなる皮肉だったのかもしれない。
今回のロシアの強硬姿勢は、来年の大統領選に向けて政権基盤を固めようという国内向けパフォーマンスともみられる。
だが、真にリセットすべきものはほかにある。両国に染みついている核兵器依存体質そのものだ。
米国との冷えた関係を「リセット」するのはもうやめた―。ロシアがそう言いだした。
欧州で米国がミサイル防衛(MD)建設を進めるならば、ロシアは新戦略兵器削減条約(新START)から脱退も辞さないという。
新たな核兵器開発国が現れないよう核ミサイルを撃ち落とすMDを配備する。米国はそう言うが、真の標的は自分に向いているのではと疑っているのだ。 v さらに対抗手段として、MDを攻撃する最新ミサイルや、MDをかいくぐる新型核ミサイルの実戦配備を急ぐ構えも見せている。
これでは互いに不信感を募らせた冷戦時代に逆戻りではないか。
「リセット」はオバマ大統領の登場以来、米ロ双方の合言葉となった。核超大国がいがみ合っていては、核拡散を食い止めることもできない。新STARTは両国の関係改善の象徴でもあった。
2年前を思い出す。新START締結交渉のヤマ場で、米国務長官とロシア外相が一緒にリセットボタンを押して友好ムードを演出する場面があった。
ところが米側は用意した小道具でミスを犯した。ロシア語で「リセット」と書くつもりがスペルを間違え、荷物の「積み過ぎ」を意味する言葉になってしまった。
両国は今なお核兵器やミサイルを「持ち過ぎ」ている。あの失敗は、そんな現状を予言する大いなる皮肉だったのかもしれない。
今回のロシアの強硬姿勢は、来年の大統領選に向けて政権基盤を固めようという国内向けパフォーマンスともみられる。
だが、真にリセットすべきものはほかにある。両国に染みついている核兵器依存体質そのものだ。
(2011年11月30日朝刊掲載)