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広島訪問は困難 来月12・13日に来日の米大統領

■記者 岡田浩平

 平野博文官房長官は8日の定例会見で、オバマ米大統領が来月12、13の両日に初来日する際に被爆地の広島、長崎を訪問するのは日程的に困難との見通しを示した。

 鳩山由紀夫首相は先月24日、オバマ氏も出席したニューヨークでの国連安全保障理事会首脳級特別会合で「世界の指導者にぜひ広島、長崎を訪れて核兵器の悲惨さを心に刻んでいただければ」と呼び掛けている。

 平野氏はこの経緯に触れながら「短い訪日なのでスケジュール的に難しい」と、今回の被爆地訪問には否定的な見方を示した。その上で「もう少し長い滞在時間なら必ず行っていただけると思う」と述べ、次回以後の訪問に期待感を表した。

 「核兵器のない世界」の追求を掲げるオバマ大統領の被爆地訪問は、広島、長崎両市が米国に繰り返し求めている。ただ、米国内で原爆投下を肯定する意見も根強くあり、実現の見通しは立っていない。


オバマ氏 広島訪問困難 被爆者ら一様に落胆 中高生「招聘運動続ける」

■記者 東海右佐衛門直柄、明知隼二

 11月に来日するオバマ米大統領の広島訪問が見送られる見通しとなった8日、被爆地に招こうと働きかけてきた広島の被爆者や中高生たちは一様に落胆の声を漏らした。しかし「次回の来日時にはぜひ」と招聘(しょうへい)運動を続ける構えだ。

 大統領に訪問を求める書簡を送った広島の被爆者7団体の一つ、広島県被団協の坪井直理事長(84)は「廃絶を願う被爆地の声を聞いてほしかった」と残念がり、「7団体で再度、書簡を送ることも検討したい」と話す。

 個人で3度にわたり大統領あての手紙で要請した原爆資料館元館長で被爆者の高橋昭博さん(78)は「原爆投下を肯定する米国内の世論を気にしたのではないか」と懸念し、「オバマさんには廃絶へのハードルを乗り越える力がある。いつか来てもらえるよう要請を続けたい」。

 若者の力で招聘実現を目指す「中高生ノーニュークネットワーク広島」の共同代表の一人、木本梨世さん(17)=ノートルダム清心高2年=も「すごく残念。でも、そんなに簡単に来てくれるとも思ってはいなかった。これから運動をさらに広げ、ぜひ広島訪問を実現したい」と話していた。

(2009年10月9日朝刊掲載)

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