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社説・コラム

『記者縦横』 問われる電気の使い方

■経済部 山本和明

 太陽光パネルや風車が点在する北九州市八幡東区の東田地区。ここで計画している試験的な取り組みを取材して、電気の使い方を考えさせられた。

 計画では、電気料金を需要と発電量に合わせて変動させる。電気が余っているときに料金を安くして使用を促し、足りないときに高くして需要を抑制。地域内で需給バランスを取り、無駄なく使う。

 「一律に電力消費を減らすのではなく、使えるときには使える仕組み」と市の担当者。使う側からみれば安い時間を考える必要がある。面倒と感じる人もいるだろう。だが、何も考えずに使い放題、という時代は終わろうとしているのではないだろうか。

 東日本大震災から1年。福島第1原発の事故を受け、電気に対する意識が変わり始めたことを感じる。中国地方でも自主的な節電の輪が広がり、自宅に太陽光パネルを付ける人も出た。多くの人がこの1年、エネルギーと向き合った。

 普及が期待されている自然エネルギー。中国地方でも大規模太陽光発電所や風力発電所の建設計画が相次ぎ浮上した。ただ、まだ課題が多いのも事実だ。

 1月に島根原発(松江市)が全基停止し、中国地方で稼働する原発はゼロとなった。国内の全原発が停止する事態も想定される。

 原発、自然エネをどう位置付けるか。国はエネルギー政策を見直している。ただ国任せではこれまでと変わらない。一人一人が自分の問題として捉え、長期的な視点で考えていきたい。

(2012年3月12日朝刊掲載)

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