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民主衆院議員6割 「核の傘」脱却に賛成 

 共同通信社は民主党衆院議員308人を対象にしたアンケートで核問題に関する見解を尋ね、10日までに回答を集計した。米国が日本に提供する「核の傘」について、58・3%が「将来的に脱却を図るべきだ」と回答、「即座に脱却を図るべきだ」の2・8%と合わせ、6割以上が核の傘に頼らない安全保障体制を志向する姿勢を表明した。同盟国の米国が、敵の核使用まで自国の核を使わない「先制不使用」政策を採用すべきだとの意見も87・2%に達した。

 先制不使用は核兵器の軍事的役割を低下させ、核軍縮につながるとされ、マニフェスト(政権公約)に「核廃絶の先頭に立つ」と明記した民主党内では岡田克也外相らが支持している。アンケート結果はオバマ米大統領が提唱する「核なき世界」の実現へ向けた機運の高まりを反映しており、政権交代を受けて日本の核をめぐる政策が変わる可能性を示した。

 ただ、日本が攻撃された場合に米国が核を含む手段で報復することを前提とした核の傘については、自民党中心の歴代政権が防衛政策の根幹に位置付けてきた経緯があり、今後の日米関係に微妙な影響を与える可能性も否定できない。

 また北朝鮮の脅威などを理由に、非核三原則を見直し、核の傘の強化を求めるなど党の方針と異なる意見も一部にあり、党内が必ずしも一枚岩でない状況も露呈した。

 アンケートでは、28・4%が「現在の核の傘にとどまるべきだ」と回答。米国の戦術核を領域内に配備する北大西洋条約機構(NATO)式の「核共有」などを通じ、核の傘を強化すべきだとしたのは1・9%で、民主党が提唱する「北東アジア地域の非核化」と矛盾する回答も見られた。

 非核三原則の今後の在り方を尋ねたところ「現状のまま堅持」が73・0%で「法制化すべきだ」が19・4%。核搭載艦船の領海通過を容認したり、米国の核を国内に配備できるよう見直すべきだとの回答は4・7%だった。

 民主党衆院議員の68・5%に当たる211人から回答を得た。

  ≪調査の概要≫
 8月30日の衆院選で当選した民主党の衆院議員308人を対象に、9月16~18日に、都内の衆院議員会館で質問用紙を配布し、回答を求めた。党のマニフェスト(政権公約)だけでは読み取れない個別政策に対する議員の意識を探る目的。10月10日までに211人(回答率68・5%)からファクスで回答を得た。新人議員143人のうち119人(同83・2%)が回答。首相、閣僚、副大臣、官房副長官、政務官に就任した計44人で回答したのは10人だった。

(共同通信配信、2009年10月11日朝刊掲載)

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