×

社説・コラム

『この人』 学校法人広島文化学園の理事長に就任した森元弘志さん

満足できる学び目指す

 広島文化学園大(呉市)と同短大(広島市安佐南区)を運営する学校法人広島文化学園の理事長に1月、就任した。「学生が学んで良かったと満足し、目的を持った人生設計ができる教育を目指す」とビジョンを描く。

 少子化で高等教育を取り巻く環境は厳しさを増し、大学の個性化が進む。「社会を見据え、どのような人材を輩出するか明確にすることが大事だ」と、大学の「出口対策」に焦点を定める。大学院の看護学研究科には4月から博士後期課程を新設。看護学の学問体系を確立し、指導者や研究者育成を図る。

 一貫して教育畑を歩む。サッカー一筋だった高校時代、膝を痛めて指導者を志した。広島大教育学部を卒業後、高校の保健体育の教諭から広島市教委に。教育長を経て、1999年5月から約3年間は市助役を務めた。教員には「特定の価値観の押し付けではなく、生徒の多様な個性をくみ取って伸ばす資質」を求める。それが、学生の満足度につながると考える。

 教育者として、原爆と平和を語り継ぐ使命も自覚している。2歳の時、牛田町(現東区)の自宅で被爆。学徒動員中に被爆したとみられる兄は行方が分からなかった。3月の卒業式では「混迷の時代。正義が通る社会、平和な世界を創る担い手になってほしい」と語り掛けた。  今でも、昔の教え子の話になると目を細める。車のナンバーを結婚記念日にする愛妻家でもある。広島市東区で妻と暮らす。(野田華奈子)

(2012年4月4日朝刊掲載)

年別アーカイブ