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社説・コラム

平和宣言 有識者委を軸に 広島市長、10日に就任1年

 広島市の松井一実市長は10日で就任1年を迎えるのを前に5日、中国新聞のインタビューに応じた。8月6日の平和記念式典で読み上げる平和宣言の内容について、昨年設置した有識者委員会を軸に議論し、被爆体験談の公募などの手法を検討する考えを表明した。中国地方知事会が設立を検討する広域連合について「議論に参加したい」との意向も示した。(藤村潤平、田中美千子)

 ―就任1年を振り返っての自己評価は。
 対話を重ねる中で自分といろんな人との思いを調和させ、ビジョンを醸成させた。実行に本格的に着手する状況がつくれたと思う。

 ―2年目は旧市民球場跡地(中区)の活用策や広島県営広島西飛行場(西区)の跡地活用ビジョンなど、大きな決断を迫られます。
 市全体がにぎわいを醸し出すための広い視野で、大規模未利用地の役割を考える。西飛行場はウオーターフロントで、一帯で地域の在り方を考える。旧市民球場跡地については、どういう機能が望まれるかを整理し、絞り込んだ上で自分が最終決断する。

 ―都道府県が政策分野で連携強化し、国の出先機関の仕事を移す受け皿となる広域連合の設立が中国地方でも検討されています。加わる考えは。
 議論に参加したい。私の市政の目標の一つは地方分権を前進させ、実現することだ。広島都市圏にある他の市町と協力した行政展開をし、そこに市が費用を負担するような広い視野が必要だ。国から権限移譲があった時も容易に近隣市町と協議に入れるからだ。

 ―平和都市として市長の発信力に物足りなさを指摘する声があります。
 評価がさまざまなことは承知しているが、多くの人に核兵器はあってはならない、との思いを共有してもらうことに徹したい。(会長を務める)平和市長会議は加盟都市をどんどん増やして底辺を固めたい。

 ―ことしの平和宣言はどう作りますか。
 昨年の委員会のメンバーには親身にアドバイスをいただいたので替えたくない。ことしも被爆体験談を公募するか、あるいは既存の素材を使って被爆者の思いを出すか、手法について意見を聞く。(任期中の)全4回をワンセットで被爆の実相を伝える宣言にすべく、第2弾を考える。

(2012年4月6日朝刊掲載)

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