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被爆地五輪 理解求める 広島市 県などに意義・課題説明

 2020年夏季五輪の招致の検討を始める広島市の三宅吉彦副市長が13日、広島県や広島商工会議所など5カ所を訪問した。秋葉忠利市長が11日に記者会見で明らかにした「長崎市などとの複数都市による招致検討委員会の設置方針」を説明し、理解を求めた。

 県庁では、有岡宏副知事と城納一昭副知事と非公開で面会。検討委の設置を決めた経緯を説明し、被爆地での五輪開催の意義や今後の検討課題を伝えたという。終了後、三宅副市長は「友好的だった」と説明。一方の有岡副知事は「協力要請を受けたわけではないので、何も申し上げることはないと伝えた」と述べた。

 広島商工会議所での会談後、大田哲哉会頭は「複数都市での開催や財政負担の諸課題をクリアできるか、可能性を探ってくださいと答えた」と話した。

 このほか、三宅副市長は広島経済同友会の高木一之代表幹事、県体育協会の加藤義明会長、市スポーツ協会の田村鋭治会長に面会した。

 一方、広島県の藤田雄山知事は「広島市から何も聞いておらず、唐突な印象はぬぐえない」と不快感を示した。

 市は長崎市とともに2020年の夏季五輪招致検討委を近く設置する。11日の記者会見後、地元には実現への期待が広まる一方、関係団体から「唐突だ」と困惑する声が上がっていた。


「コメント控える」 平野官房長官

 広島、長崎両市が2020年の夏季五輪招致の検討を表明したことについて、平野博文官房長官は13日の定例会見で「政府としてのコメントは控える」と述べた。

 平野氏は「日本オリンピック委員会(JOC)がどうするかの判断だ。東京都がどうするかも聞いていない」と説明した。

 川端達夫文部科学相も会見で「スポーツと平和の祭典に名乗りを上げようと意思表示されたことは、大きなメッセージ」と個人的な感想を述べつつも、JOCの判断を見守る姿勢を強調した。

(2009年10月14日朝刊掲載)

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