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核廃絶 現実的な道探る 広島 不拡散委が開幕

■記者 金崎由美

 「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」(ICNND)の最終会合が17日、広島市で開幕した。被爆地入りしたメンバーは原爆慰霊碑に献花し、原爆資料館を見学するなど被爆の実情に触れた。18~20日に討議を重ね、核兵器廃絶への道筋を示す最終報告書を年内にまとめる。

 広島会合には、共同議長を務める川口順子元外相、オーストラリアのギャレス・エバンズ元外相らをはじめ16カ国26人の委員・諮問委員が参加。まず大半のメンバーが中区のホテルでの「市民社会との対話」に出席し、市民や被爆者代表ら約40人と意見を交わした。

 この中で秋葉忠利広島市長は、平和市長会議が訴える2020年までの廃絶を「現実的な期限」と主張。被爆地の市民代表は「核と人類は共存できない」として核兵器禁止条約の実現を求めた。英国の軍縮専門家レベッカ・ジョンソン氏は、保有国による早期の「先制不使用」宣言をICNNDの最終報告書に盛り込むよう訴えた。

 これに対し、共同議長のエバンズ氏は「ばら色の理想を描くことはしない」としつつも「私たちの熱意と現実の双方を報告書に盛り込む」と述べた。

 一行はこの後、中区の平和記念公園で原爆慰霊碑への献花に続いて資料館を見学し、高橋昭博さん(78)の被爆体験に耳を傾けた。

 18~20日は中区のホテルで、「核兵器を2025年までに1千発以下とする」などを盛り込んだ報告書最終草案を基に討議する。

核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND)
 日本、オーストラリアの両政府の主導で発足した有識者会議。米国やロシアなど5核保有国やインド、パキスタンなどの元政府高官ら15人の委員と、28人の諮問委員で構成。昨年10月のオーストラリア以来、会合や地域会合を計7回開き、今回の広島が最終会合となる。報告書は来年5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に提示する。

(2009年10月18日朝刊掲載)

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