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社説・コラム

『この人』 核兵器廃絶の署名集めを続ける盈進高3年 山本真帆さん

核と決別 粘り強く訴え

 「『核と人類は共存できない』と今は確信しています」。昨年3月の福島第1原発事故で放射線被害への懸念が広がる被災地を訪ね、思いを強める。

 中学2年で東京から盈進中・高(福山市)に編入。「人と関わるボランティア活動が楽しい」とヒューマンライツ部に入部した。

 ちょうど同校が広島女学院中・高、沖縄尚学中・高と共同で核兵器廃絶を求める署名活動を始める時だった。原爆ドーム(広島市中区)周辺などで署名を集めた。3校が中心となり4年間で計約18万人分を国連に届けた。

 署名活動を始めたころ、冒頭の言葉に迷う自分がいた。核兵器廃絶なら言えるけど、原発となると―。原発事故に心が揺れた。報道を通じ、計画的避難区域の福島県飯舘村の特別養護老人ホームに残る被爆者を知った。

 原爆投下から2日後に衛生兵として広島市内で救護活動をした大内佐市さん(82)。事故から4カ月後の昨年7月、避難区域外の同県川俣町で対面した。2度も放射能の恐怖にさらされる人がいる事実が許せなかった。平和利用も軍事利用もない。そう感じた。

 福島で体感したことを部員で話した。会う人会う人が「誰にも同じ思いをさせたくない」と口にした。ヒロシマとフクシマの願いは一緒に思えた。

 将来、人権や平和問題に関わるのが夢だ。6日、広島市の平和記念式典に参列した原爆投下時の米大統領の孫クリフトン・トルーマン・ダニエルさん(55)に会い、あの言葉も伝えた。「核への考え方は人それぞれ。でも私たちは粘り強く発信する」。福山市で両親と3人で暮らす。(加納亜弥)

(2012年8月7日朝刊掲載)

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