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被爆の悲惨さ実感 ICNNDメンバーが資料館見学 

■記者 東海右佐衛門直柄

 原爆被害に触れた各国の識者たちは、核兵器廃絶への道筋をどう議論していくのか―。17日、広島市中区の平和記念公園を訪れた核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND)メンバーは、被爆証言に耳を傾け、被爆者の遺品を目の当たりにし、核兵器が人類にもたらす悲惨さを心に焼き付けた。

 被爆体験を語ったのは元原爆資料館長の高橋昭博さん(78)=広島市西区。資料館内で、一緒に被爆し1カ月あまり後に亡くなった友人のぼろぼろの服を示しながら「原爆は憎いが、憎しみで憎しみを消すことはできない。辛抱強く平和を訴えていきたい」と切々と話した。メンバーは多くが目を閉じ、うなずいた。

 館内には廃虚となった市街地のパノラマ模型をはじめ、黒焦げの弁当箱、さびた三輪車、人影が残る石などが並ぶ。約1時間の見学を終えたメンバーは「印象的だった」「力強い展示だ」などと感想を話し、案内したスティーブン・リーパー広島平和文化センター理事長に握手を求めた。

 涙を浮かべたのは共同議長の川口順子元外相。「(ここで)見ることができるものも悲惨の一言に尽きますが、残ることすら許されなかったものがもっと悲惨であったと…」

 もう1人の共同議長、オーストラリアのエバンズ元外相は「強いメッセージを含む最終報告書をまとめたい。核兵器のない世界をめざす考えと、国際政治の現実的な側面との両方を踏まえ、野心的に討議したい」と18日から3日間の討議に向け意欲を語った。

(2009年10月18日朝刊掲載)

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