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社説・コラム

オスプレイ試験飛行 上空ルポ ヘリ追いつけず

 垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが21日朝、日本の空を舞った。錦川水系のデルタ地帯にある米海兵隊岩国基地。上空のヘリから、広島湾に次々に飛び立つグレーの機体を見た。

 唯一尾翼を赤く塗った隊長機がまず、駐機場からヘリポートへ。午前9時20分、機体がふわりと宙に浮き、地面に大きな影が映し出された。試験飛行がついに始まった。プロペラ部分を垂直離着陸モードにし約2分間ホバリング(空中停止)した後、滑走路から飛び立った。

 スピードを上げ、ヘリでは追いつけなくなった。瀬戸内海に浮かぶ島々や船を眼下に、朝もやの残る上空を抜け、消えた。訓練空域である下関沖の日本海に向かったのだろう。その後、次々と岩国基地を離れては戻ってきた。

 先行搬入されて61日目。オスプレイから後ろに目を転じると、政府の安全宣言にもなお、不安を抱える市民のいる市街地が広がっていた。(友岡真彦)

(2012年9月22日朝刊掲載)

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