×

ニュース

「2020年核廃絶」採用困難 不拡散委 2日目討議 川口議長が示唆

■記者 林淳一郎

 核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND)は19日、広島市中区のホテルで討議を続けた。共同議長の川口順子元外相は、平和市長会議(会長・秋葉忠利広島市長)が提唱する2020年までの核兵器廃絶について「いろんな考えは評価するが、私たちは現実的な行動計画を示す」とし、報告書への採用は困難との見方を示唆した。

 討議2日目のこの日は、元政府高官ら16カ国26人の委員・諮問委員が非公開で意見交換。核兵器廃絶の道筋を描く全20章約200ページの報告書草案を最後まで審議した。

 終了後、川口氏は「(2020年までの廃絶は)現実的に考えると、おのずから答えは出ているのではないか」と述べた。関係者によると、廃絶の目標時期を報告書に明記するのは難しい見通し。

 この日は、核の役割を減らす方策や実現時期をめぐり議論は白熱。予定を1時間以上も上回る8時間余りに及んだ。核兵器を相手国よりも先に使わない「先制不使用」については、すべての核保有国に求めていくことを確認したという。

 また2025年までの核兵器削減数を盛り込むことで合意した。委員らからは「核弾頭の解体能力は十分か」「核分裂性物質の管理が重要」などの意見も出たという。

 20日は最終日で、報告書の内容全般を最終調整する。川口氏は「(廃絶に向けて各国の)政府が実際に行動に移せる計画に仕上げる」と話した。


禁止条約早期交渉 「報告書に不可欠」 NGOアドバイザー

■記者 金崎由美

 ICNNDが議論している最終報告書について、ICNNDの非政府組織(NGO)アドバイザーを務めるティルマン・ラフ氏(54)は19日、広島市内で中国新聞の取材に応じ、「核兵器禁止条約の早期交渉開始を盛り込むことが欠かせない」との見方を示した。

 核兵器廃絶国際キャンペーン・オーストラリア代表のラフ氏は、「核兵器の廃絶実現には、開発や取得、使用を包括的に禁じる枠組みが不可欠というのが市民社会の一致した見解」と強調。国際的なNGOなどが「2015年までの条約締結」を主張していることを念頭に、即時交渉着手を報告書に盛り込むよう求めた。

 ICNNDの報告書草案は「2025年までに核兵器禁止条約に対する(国際社会の)支持を構築する」としている。

(2009年10月20日朝刊掲載)

関連記事
「核の非人道性強調を」 不拡散委 討議スタート 広島 (09年10月20日)
核廃絶 現実的な道探る 広島 不拡散委が開幕 (09年10月19日)
2025年に核1000発以下 ICNND報告書 最終草案(09年10月19日)

年別アーカイブ